くじら
私が汚い事をしてなくても
私が先生を
苦しめてるみたいで…
いや…。
「何かありましたか?」
「………先生が父様とお話する事は、財閥つぶしの事ですか?」
「瑠璃子さん、…」
―仕方ない。
自分のしたことなんだから
みんな、みんな
先生を“悪い”と指をさして言う
“罰せられて当然だ”と言う
誰一人悪くない。なんて言わない、
だから先生は悪いと思ってる
それにつけ込んで先生に仕事をさせてる
なんて卑怯なんだろう
「昴さんから聞きました。…知れて良かったです、先生のしている仕事」
先生は黙っている。
涙が出てきそうだった、
「……」
「先生は汚くなんかありません。…好きになっただけで、何も悪い事なんかしてないのに…、っ…」
―うそだ。
―なにいい子ぶってるの。
何が悪いのか
何が正しいのか…
わたしはわからない
苦しい。