くじら
「瑠璃子さん。お久しぶり」
舞踏会場には
たくさんの紳士淑女がいた。
一応は仮面舞踏会…
だけど何となく、誰かというのはわかる
「亜美子さん…。お久しぶり、」
夏休みに入ってから会ってないから本当に久しぶり
「踊らないの?」
「…ちょっと疲れてしまって休憩を。」
亜美子さんは、そうなのと踊る人をみた
ゆっくりとしたワルツ…
「今日の楽団はとても上手いから、踊りがいもあるわ。あら…」
亜美子さんは誰かに声をかけられていた
「じゃあまた瑠璃子さん。」
「えぇ…」
また人混みの中に亜美子さんは紛れた
音楽を聞くとピアノを弾いてた先生を思い出す
―夜想曲ですよ。作者は忘れましたけど
先生……
人はたくさんいるのに
一番会いたい人はいない
ただ壁際で音楽を聞いていた
とても心地よかった