くじら
私は先生の
近くに行った
のびている使用人が
私の近くに横たわる
「じゃあ…行きます」
「君が気にする事ないですよ…」
私は振り返りドアに向かう
カチャリと音がした。
先生は哀しそうに笑う
「……う……どう」
小さな音がした
反射的に後ろをみた
パリン
「…瑠璃子さん?」
私は立ち止まって
先生の後ろの硝子窓を見る
私はだっと走る
「……っ」
まるで時間が
止まったみたいだった
硝子がパラパラと降ってくるのは先生には
分からない
バリン!と硝子が鳴る
大きな破片がふってくる
先生を硝子窓から
突き飛ばす。
硝子の破片が
頬を切ったのが分かった
死なないよね…私。
動けない
硝子がきれいに降ってくる
「―………っ!」
先生はぐいっと
手を引っ張る
私の手は動かない
がばっと大きな
腕が頭をつつむ
私は先生にかばわれて
割れる音が聞こえるのが
分かった