くじら
いまの先生はあの時とは
違うから、変な感じ。
―俺を…守ろうとしないで
あのときの
先生の方が恐いけど…
"本物"の
先生だと思うから
変な感じ…
何かすこし物足り
ないと思ってしまうのは
私の我が儘なのかしら…
「織人さん、あれは何なの」
「…祭りの飾りだよ。綾さん」
近くの神社で祭りはあった…
元は豊作を
祈願する祭りらしい…
(―と先生が歩きながら教えてくれた)
先生も出店を見ながら
楽しんでる。
「…瑠璃子さんは何か欲しい物は?」
「え……」
先生は買ったお面を
ずらしながら言った
「…遠慮しないで。たまには恋人らしい事させて下さい」
「え……えと、」
慌てて周りの店を眺めた
「……、」
あまり欲しいものはない
食べ物は、別荘で
食べたからお腹は減らないし…
「すいません。」
「…こちらこそ突然言って、何かあげたいなと思って。7月は君の誕生日だったから…」
確かに7月…は
私の誕生日だ。
「…先生知ってたんですか?」