くじら
私と先生は
織人さん達に断りを
入れ一旦別荘に戻った
「話の続きしましょうか?」
先生は椅子に座って
目をつぶった
私は向かいの椅子に座る
「……あの時…佐原子爵の舞踏会の日、僕はある男に呼び出されました。」
―お前のせいだ!お前が…
先生を罵っていた声
「……没落された方ですか、その…先生が」
先生はこくりと頷く
「僕が…間接的に手を下しました。その事をずっと、恨んでたらしいです。停電したのも彼が…。」
手を下した。
「……」
「……まさか拳銃を出されるとは思わなかったけど、相当恨んでたみたいです、まぁ仕方ないですね…」
笑顔で、悲しい事を言う
「…仕方なくないです。」
あの時 もし
私がいなかったら
きっと先生は
硝子で怪我をしてた
怪我でもしないと、
罪悪感が薄れない……
「あの時先生、死んじゃうかと思った…。なんか死にたがってるみたいで…、だからあの時、」
つきとばしてしまった
私は怪我してもいい
死んでほしくない…
そう一瞬で思ったの。