くじら





「……死にたがってるみたいに見えたから、だから君は突き飛ばしたんですね。」



先生はポツリと呟いた




「…すいません。」





「……」



先生は黙って、頬杖をついた







静かで、…
先生の無言は重たく感じた




「……君が僕を心配してくれて嬉しいですけど、あんな事またされたら、堪らない」




「すいません」






「……僕は確かに死んでもいいと思ってた。…こんな苦しい思いしてまで生きてたくないからね…。」




生きてたくない。




「でも…僕は生きなくちゃならない。君に助けて貰った命だから…、」





「是非そうしてください」




そうするよ。
先生はにこやかに笑った



「…あと、君の前ではたまに本性が出てしまう、抑えが効かなくなる。前に自分で言っておきながら情けない…」





「そんな、情けなくなんか…むしろ私は、…」





先生はニコニコ私をみる



「……真面目な藤堂先生より、乱暴な久白先生がいい?」



「……っ、」



先生はわかって…た。
わかって私に…言わせた




「……い…いです。」



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