くじら


「聞こえないですよ。瑠璃子さん」




「…わかってらっしゃるなら言いたくありません!」




急にからかう
笑顔で私に言う



「言ってくださいよ。先刻も言ったじゃないですか、言わないと分からない…と」



ぷいと
身体ごと向きをかえる




「………」



「言えよ。」



身体がビクッとした。


横目で見ると先生は
頬杖をついたまま
真剣な目をしてる





「…せ、…先生」




「こっちの方がいいんでしょう、」




口調はさっきと
同じなのに…怖いけど


でも…





「こっちが……いいかもです…」




身体を外側に向けたまま言った



手が震えた







「……そう。」



「…でも学校では真面目でいて下さい。」





「…瑠璃子さんを怖がらせない程度で努力していくよ」





ガタッとイスから立ち上がった





「……風呂にでも入ってきます。もうこんな時間だから、」




時計は10時過ぎ…
先生はスタスタ歩いていった







「はぁ……」



少しほっとした
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