くじら



「……声が好きです。私を呼ぶ時、先生ちょっと高くなるから…」




最近気付いた事
ちょっとだけ高くなる




「……そうか」



ドクン ドクンと
先生の心臓の音がする




「先生はありますか?私の……いい所」





「……。お人好しで優し過ぎて、真っ直ぐで人を疑わない所。」


「…何か悪い所みたいに聞こえます」




先生は、
そうじゃないよと呟いた





「…ただの嫉妬。たまに君は他人に優し過ぎる。見てて少し苛々する…、」



苛々する?


「先生が、嫉妬する?」





「するよ、厄介だね。戀愛てものは、大人になる程重くなってくから…」





大人になる程に…
まだよくわからない





「……眠くなってきました?」





少し瞼が重くなってきた

「ちょっと……、だけ。…疲れたんですね、わたし。いまほっとしてます」





「…ほっとする?」




頭が少しずつ
ぼぉっとしてきた





「…します。」




くじら。


急に先生のあだ名を
思い出した…
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