くじら
「瑠璃子さん、そういえば須藤様の事だけど…、」
朝食の後 綾子さんは
こっそり言った
「織人さん、何か秘策があるみたい。今はまだ言えないらしいけど…」
「秘策…?」
「よくわからないの。まぁ織人さんがやるって言ったらやるから、信じてあげて頂戴」
織人さん…
何か考えてらっしゃる?
まだ言えない なら
その時がきたらわかるかしら
でも 早く聡子さんを
助けてあげたい…
「ねぇ瑠璃子さん、そういえば昨日何があったの?」
「えっ!?……き、昨日。昨日は…」
―君は簡単な女性じゃないだろう
「あのー、それはね、…その」
顔が火照る
さっきまで真面目な話してたのに…
「いいじゃなぁい、ちょっとだけ。耳打ちでいいから」
「………あの、」
綾子さんはニコニコ
しながら ふんふんと聞いた
「きゃああ!先生たらー外国人みたいっ!素敵ー、良かったわね、瑠璃子さん」
「あ、…うん」
綾子さんは 予想以上に
はしゃいでくれた
「で…さ、先は?」
「……ま、まだ、ちょっと早いから、」
綾子さんはうーんと唸った
「……そうね時間をかけて、ね。また聞かせてね」
「じゃあ織人さんのお話聞きたいわ、」
綾子さんはうっと 顔を真っ赤にさせた