くじら
何だかんだ言っても
仲は良い二人
私を羨ましいと
綾子さんは言うけど
私は二人の方が羨ましい
だって堂々と
好きだって言える
隠すことなんかない
堂々と隣にいる事ができる
「瑠璃子さん」
「……え、せん…」
横を見た後
パッと後ろを振りかえる
「あはは…、下から回って来て下さい。」
先生は着物を脱ぎ川に浸かっていた
山道を探り歩きながら下に降りて行った。
「先生…なんで川なんかに…」
下まで降りると岩がたくさんあった。
私は袴が濡れないように岩の上に座る
「剣道して汗かいたし、ちょうど川がありましたから」
ありましたから…って
「……君も入ります?涼しいですよ」
「出来ませんよ、無理ですっ!」
あははと先生は笑った
「……はぁ、」
先生はよっと岩に座った。
近くにあった手ぬぐいで体を拭い着物を軽く羽織った
「先生は、川もお好きなんですか?」
「好きというか…落ち着くんです、川も海も。」