くじら
最近気がついた事がある
先生と澄さんは中々二人で見る事がない
先生はいても澄さんが家にはいない
二人が揃うのは食事の時くらいだ…
逆に澄さんのいる時に
先生はいない。
人と関わる事云々言ってた癖に
澄さんは滅多に人と話をしたりしない
自分には言っておいて…
そんな事を考えながら毎日過ごしていった
ある日弟が下宿先に来た
「静加、元気にしてたか?」
「はい、元気でした。兄様も元気そうで何よりです…」
静加は別の親戚の元にいる。
「…いらっしゃい。中に御上がりなさいな、久白君も」
澄さんは 玄関先にわざわざ出てきた
「はい、」
静加はギュッと服の裾を握ったのがわかった
「静加?」
「あの人苦手かもしれません。兄様」
「いい人だよ。静加、怖がる事はない」
静加は黙って澄さんを見ていた
弟は気付いていた
自分があの人に落とされると、
きっと気付いていた
だから 嫌いだと自分に伝えたのかもしれない