くじら
# 叶わない夢…
先生が帰らないのを
いいことに澄さんと僕は
当然のように
恋人まがいの事をした
悪い事だと知っていた
いつかは
別れると思っていた。
「………、ぁ。だめよ久白君、」
彼女は
妙に僕を惹き付けた
なにか魔みたいな魅力があった
「何で…?」
「恥ずかしいわ。せめて灯りを消して……ぁっ、」
なにかをうめるみたい
彼女を何回ももとめた
澄さんはきれいだった。
先生の着物のはしを掴んだ
「…瑠璃子さん」
「大丈夫です。ちゃんと聞きます……」
生々しく話す事実に
耳を塞ぎたくなった
知りたい 知りたくない―
先生が誰かを
好きだった…なんて
聞きたくない…
「……君にはつらい話だね。ごめん」
「つらいですけど、先生のことだから、聞きます、聞かなきゃ…」
先生は頭を撫でた
「……、うん。」
先生は静かに口を開く
「いつまでも続くと思っていたんだ…けど」