くじら



僕は 三高の
本邸に連れていかれた…





父もそこにいた



冷たい表情をしていた











三高の家は僕を特に
裁きはしないと言った…




ある条件をつけて

一つは 裏の仕事

二つは 澄さんと
二度と逢わない事





大勢の人間が
僕を取り囲んでいた


その辺はうっすら
としか覚えていない





僕はその条件を飲んだ



父が三高の人間と
話し合ったぎりぎりの条件だったから






どうでも良かった…




代わりといっては變な話だが
僕は教師になっていいと言われた






家督は静加に継がせる






おかしな話だ





僕は用意された部屋で
ぼうっと考えていた





あんなに願った夢があっさりと叶った…





バカみたいに…








「久白君」





「……」

澄さんが中に入ってきた





「ごめんなさい」






「……貴方が三高家を恐れてた理由が分かりましたよ。馬鹿な家だ…」




「…三高家は昔から皇族の家系の家だから、厳しいの。色々…言わなくてごめんなさい」








頭にたくさんの言葉があるのに…






口に出ない






「……」





「…久白君」








「……」


「ひゃっ、貴方っ。」


バタンとドアが閉まった





ちらりと見えた
先生がこちらを睨んだ目が見えた



< 259 / 370 >

この作品をシェア

pagetop