くじら






「それ以来…澄さんとは会っていない。教師の仕事をしている、もう6年も…」





先生は話し
終わりふうと息をついた






宙を仰ぎながら先生は言った





「……散々ですね」





先生になんて
言えばいいんだろう





ひどいですね…

悲しかったですね…



後悔はしてませんか?







どの言葉も
先生には無意味で
きっとむなしく響くだけだ






「…ありがとうございます、先生話して下さって…。ちょっとすっきりしました」





先生はふっと笑った



「すっきりしたなら良かったよ。」







生きていたくない…



先生がそう言った
意味が痛いくらいわかった





好きな人から
離され仕事をさせられ……





その仕事も…辛い仕事







生きて
いたいなんて思わない





むしろ死んだほうが
どんなに楽だろう……







「…そういえば倉田先生はご存知で?」




「知っていますよ。話したら怒鳴る前に呆れてました」




ははと笑って言った
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