くじら
「え……、先生の弟さんですか?」
『はい。君にあいたいらしくて…、』
珍しく
先生から電話があった…
かけてきたのが織人さん
の家だったから驚いた
「構いませんけど…、その大丈夫ですか?私は…その生徒で……」
『事情は話しています。安心して下さい、』
「……はい。なら…あいます。はい、分かりました」
チンと電話を切った
先生の弟さんと会う
確か静加さん…
緊張してきた…
母様には 綾部さん家に
行くと嘘をついた
先生がそう言いなさいと提案してくれたのだ
母様は いってらっし
ゃいと言ってくれた
母様に嘘をついてる…
散々悩んだはずなのに
なに後悔してるの
私は、……先生が好き
だからいいの。
四時すぎに
家の前に一台の車が来た
だれも出てこなかったけど
私は乗り込んだ…
「久しぶりです、瑠璃子さん」
「はい。先生……、」
先生は何時も
通り着物を着ていた
腕組みをしながら微笑む
「緊張してますか?大丈夫だよ、静加は怒りはしないから」
「は…はい。ちょっと、先生の家族の方ですから、」
恋とは違うドキドキ
「…僕と似てますよ。だから大丈夫です、」