くじら














知らない料亭に着き車を降りた…




「おいで」


先生は手を握ってくれた


「…大丈夫だよ。」



私はこくりと頷いて料亭に入った




先生はすたすたと歩いていく。





「静加入るよ」



ある個室のふすまをすっと開けた





「…こんばんは、兄さん。四条瑠璃子さん」



「こんばんは…、」



一瞬だけもう一人先生がいるみたいだった



けど洋服を着ていたから別人だとわかった





似ている…
けど ちょっと無愛想…だわ







「座りましょう。静加も、瑠璃子さんも」



「はい…」





私は じっと静加さんを見ていた




先生に言われなかったら座るのを忘れていた

















「……自己紹介が遅れました。僕は藤堂静加、議員をしています」



議員さん…



「わたしは四条瑠璃子です。女学生です……、」





静加さんは 無言だった





「…静加は無口なんです。気にしないで下さい、」





先生は ふっと笑った






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