くじら
「…どうしたんだ、麻里」
麻里さんはお土産を抱えて車に戻ってきた
ちょっとむくれていた
「都合よくはぐらかされた気がしたわ…。」
麻里さんはぷぅと頬を膨らませた
「…は?」
「……瑠璃子さん、気をつけてるのよ。ぜったいに、あの人は」
「…麻里さん」
「あの人…ぜったい腹黒だわ」
麻里さんはきつい口調だった。
腹黒って……
「失礼だろ、麻里。瑠璃子さんにも…先生にも」
前に座った織人さんが言った
「…本当の事よ。」
麻里さんはそれだけ言うと黙ってしまった
「久白兄さん。」
「今日はお客様が多いね。何だい?」
瑠璃子さん逹と入れ違いで昴が来た
「…今回の仕事のペースが遅いって苦情を伝言だよ。渋ってる理由は、瑠璃子さんの知人だから?まさかあんた情に流されてるの…」
「……難しいんですよ。中々一筋縄ではいかないんです…」
昴はふうんと言った
「……あんた1週間どこに行ってたの?」
「それも伝言ですか、それともただの興味?」