くじら
藤堂久遠…
亡くなった俺のおじい様
皆口を揃えて言う
「君は亡くなられた久遠様に似ている」と…
実際俺は父には似ていないから
その発言は当たっているのだろう
だから父は自分が嫌いなのだ…
自分の親に似ている自分の息子…
「旦那様…、すいません。遅くなってしまい…」
気が付くと目の前にふみさんがいた
「今着いたのか、おかえり。」
「瑠璃子さんこんにちわ。」
「聡子さんっ!」
家に帰ったら聡子さんが待っていた
相変わらず長袖を着ていた
「…久しぶり、近くにくる用事があったからお元気?」
「元気…です。聡子さん」
子供が出来ないから
旦那さんから暴力を……
須藤家は傾きかけている…
「……藤堂先生とは仲良くしてる?大丈夫」
「大丈夫です…。聡子さん、聡子さん」
なにと優しく笑った
聡子さん…
「……聡子さん。私知ってます、貴方が長袖を着ている理由。…どうして……」
聡子さんははっとした後微笑んだ。
「………ごめんなさい」