くじら
わたしはその日からちょっとずつ英語に親しんで行った
父様の知り合いの方にも英語を教えて貰うようになった
すべては 綾部織人
彼の影響だった…
「…あ、先生。えと…『あなたの目はとても綺麗』て英語で何て仰るの?」
「…誰かに言うのかい?」
「え…えと、そうよ。…」
橘先生は笑いながら教えて下さった
少しなら日常会話も出来るようになった頃
織人さん家に遊びに行った
彼はうざったそうに私を見ていた…
きれいな青い目で
「また来たのか…、懲りないな。」
「わたしを馬鹿にしたからよ!綾部織人さん、ちょっとは英語話せるようになったんだから…」
わたしは威張って言った
「へ―、じゃあ話してごらん」
織人さんはドカッと椅子に座った
見下されてる感じがする
けど怯んじゃダメよ
「My name is Ayako Nikaidou.ten years ago.How about you?」
織人さんは ふぅんと言った
「まぁ初歩だな。それだけなの?」