くじら






-しばらく織人様とは

お会いにならない方がよろしいかもしれません










執事の人に言われ私はトボトボと玄関ホールに向かおうとした時





「こんにちは、綾子さん。どうかなさったの?元気ないわね」



「リリーおば様。」



織人さんのお母さん


金髪で青い目のイギリス人



織人さんに会った後紹介された
とても優しい人で日本語もうまい




「……リリーおば様。わたし綺麗ごとなんか言ってないのに……」



「…綺麗事?」





おばさまは首を傾げた


「織人さんの目が綺麗だって…、」




「ありがとう綾子さん」






ニコニコ笑いながらおば様は言った





近くの椅子に座ってリリーおば様は話してくれた




「…あの子、あまり日本人にいい印象はないの。やっぱりハーフだから色々言われたみたいで、私には言わないのだけど…」



ハーフだから…


「…でも綾子さんが、自分を綺麗て言ってくれて戸惑ってるのかもしれないわ。今までそんなこと言ってくれた人はいなかったから……、」




「…なぜ、ですか」



おば様は うーんと笑った


「…みんな簡単に織人を認められないのよ。ふつうの日本人じゃないから」



ふつうじゃない…


よくわからない。


「ちょっと難しかったわね。ごめんなさい、綾子さん」





わたしは頭をふった

すまなそうにおば様は笑っていた
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