くじら



「綾子。英語のお勉強は、やめてしまったの?」


母様が暇そうな私に優しく聞いてきた




「…おやすみ。橘先生に頼んで、いまはいいの…」




綺麗ごとを言うな…




「…英語は当分見たくないの」




何であんなこと言うのかしら




「でもお客様がいらしてるわよ。」






「お客様……、」



「あやこぉー、いらっしゃいます」


母様の後ろから飛び出してきた小さな女の子



織人さんの妹さん 麻里さんだ




金髪に黒い目の女の子
確か今は四才……




「い…いらっしゃい」



「こにちはー。元気ないあやこ。あ…お兄さまから手紙、あたしpostmanさんです。」

つたない日本語にちょっと苦笑した




はいと麻里さんは手紙をくれた





「返事くださいね。お兄さんいったから…」




お返事







手紙には、謝罪みたいな
文章が書いてあった

もちろん日本語で


あとお詫びにうちのパーティーに出ないかという内容
















私は 返事を迷ったけど書いて渡した




パーティーには顔は出さなきゃ



リリーおば様に元気な顔を見せなくては…



























「ありがとう、麻里」



「えっへん、まり偉いでしょ?いいお手紙でした?」




「…まぁまぁだな」




麻里の頭をくしゃくしゃと撫でたら


うふふと笑っていた
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