くじら
「聡子さんのこと助けてください、先生…」
わたしは さっき先生にそう頼んだ
先生は頷いてくれた
これが最後だから
最後に須藤家を潰しておしまい
これでいいいいはずなのに…
すっきりしないのは何故かしら?
先生が いつもみたいに笑ってる顔が、
頭から消えないのは
…なぜ?
「ちょっと、本当かよ。その計画は」
「本当だよ、須藤を潰したら俺は一旦死ぬ…」
一旦死ぬ…
そう目の前で亡くなる姿を見せるのだ
倉田は 信じられんと言う顔をしていた
「…綾部伯爵家は知ってるだろう、彼等が裏に回ってくれる。心配はいらない」
「はぁ……、綾部伯爵かよ。お前の裏繋がりは相変わらずとんでもねぇな…」
「どういたしまして。」
倉田は ため息をついた
「…やめる気になったのは嬉しいが、こんな急とは思わなかったよ」
驚いているみたいだ
当たりまえか。
俺はずっと動こうとはしなかったから
流されるまま生きているな藤堂、…