くじら







壮大ないたずらか…




私は馬車にのり家に帰った









その日は 母様も父様もいなかった





一人で夕食を食べたあと







玄関のチャイムが鳴った

下に行くと




「…静加さん。こんばんは、どうなさったの?」



静加さんがいらしてた




「迎えに来たんです。突然ですいませんが今から、出掛けられますか?」



「……あたしは大丈夫ですが。でも母もいないから…松田」




執事の彼を呼ぶとすっと出てきた



「…何か御用で。」



「すいませんが、彼女に外出を許可して下さいませんか?藤堂の所用があります…。勿論僕が責任を持ちます」


静加さんは物怖じすることなく言った



松田は 無言だった
けれどすぐ頷いた




きっと藤堂家の人間の言うことは聞けと命令されてるはず…




「畏まりました、藤堂様お願いいたします。瑠璃子様お気をつけて…」



「ありがとう、松田」



静加さんは 一礼した






私は支度をしに戻ったあと、屋敷を出た














「突然すいません、瑠璃子さん」



「いいえ。藤堂家の所用とは何ですか」





聞くと静加さんは教えてくれた






「…兄さんの最後の仕事を見届けて頂きたくて」





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