くじら






「…あぁ。久白、お前はわたしに隠し事をしてないな?」




「…ありますよ。貴方に話せない事の一つや二つくらい」





ふぅと父はため息をつく





「四条の娘さんに手は出さんようにな…。次はお前を助けられる自信はない、」




「……わかりました」





玄関を開けて外に出た





「今日は満月か…」



「先生っ…」


瑠璃子さんが
ひしっと抱き付いてきた


「わ……来ていた……静加お前か…。」



「余計なお節介をしました。すいません、彼は」



「……ちゃんと処理してきたよ。気分が悪くて堪らない…」





「お疲れさまです。」




静加は無表情で
瑠璃子さんを見ていた







彼女に何か話したのか…




ずっと抱き付いてままだった

















「……瑠璃子さん大丈夫ですから。」



「わかってます…。」





抱きつかなくは
なったが手は離さなかった







「先生…どこにも行かないで下さい。」



「行かないよ…」






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