くじら






静加さんは
わざわざ家まで送ってくれた





先生と一緒に車を降りた





「先生……」



「……本当に最後なんだな。……はははは……」


私はついびくっとなった



先生は 玄関に
入りながら笑った




「先生…」



「―おかしくて堪らない。これでおわりなんて信じられなくて……。」



先生は笑うのはやめた





「なんでだろう。信じられない。こんな簡単に楽になっていいのか分からないんだ。」



「…いいに決まってます。先生は……幸せになっていいんです!」




わたしは声を張り上げた
はしたないけど…






「…ありがとう。瑠璃子さん」






先生は笑って私の手を引いた







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