くじら
「……やめようと思えばやめられたんです。こんな仕事…けど無理だった、否定するたびに彼女…澄さんを好きだったのが嘘なんじゃないかと思うのが、嫌だったんです…」
縁側からは
綺麗な月が見えている
「……唯一信じられた人だったから。ごめん瑠璃子さん。辛い想いさせて…」
先生はふと哀しそうに笑う
「……せん…」
ジリリンと電話の音がした
先生は苦笑した
ぽん と私の頭を叩き
電話に出に行った
…せっかくいいとこだったのに
でも良かった
これで終わり なんだよね
「……綾部様、」
『…久白君事情が変わったよ。ちょっと手違いが起きてね……まぁ順番は変わらないと思うが………』