くじら
<綾子目線>









「織人さん。うちに泊まっていかないの?せっかく瑠璃子さん来るのに…」






叔父様の手回しで

瑠璃子さんは今夜
わたしの家に来る事になった



叔父様は本気でやると
なったらとことんやる人だ





「…いいよ。今夜は二人で話せばいいさ、俺は疲れてる。早く寝たい」



「じゃあ泊まればいいじゃない。馬鹿」


織人さんは はあぁと息をはいた



面倒くさそうな種類のため息だ




「……親父に言われてしなきゃならないことがある。」




しなきゃならないこと…

織人さんも先生を
助ける作戦に関わってる






最近



叔父様に小間使い
みたいに使われている




あまり寝てないみたいだ…




「……」





「二人でいられなくてすまない綾さん。ちゃんと埋め合わせはするよ」




「そういうんじゃないわよ…、織人さんが心配なの……。私だってそんな勝手じゃないもの…」






織人さんは私の目を見ながら言った




きれいな私をだます青い瞳



「…俺は大丈夫だよ、ちゃんと寝るし飯も食う、明日にはまた来るから。」





そっと私にキスをした

ただこねても仕方ない





「……ちゃんと寝るのよ。明日くまなんかつくって来たら赦さないんだから」


決めたらとことんやる…




「わかってる…おやすみ」




悔しいけど、そういう時の
彼が私は好きで堪らない

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