くじら
<綾子目線おわり>
わたしは夜中に
綾子さん家に来た
夜中なのに綾子さんと
綾子さんの
お母様が出迎えて下さった
客間に案内され
わたしはふぅと息をつく
久白君を助けるのは5日後の花園の舞踏会だ…
雅昭さまが話した
作戦の内容がぼんやり
頭に浮かんできた
花園は守りが頑丈で
こそこそ入れない
なら堂々と入るしかない…。
久白君はもしかしたら地下か、
屋根裏、どこかに
閉じ込められている…
大丈夫だよ。悪いようにはされてないさ
彼は何があろうと
動じもしない男だ…
なぜ分かるんですか―?
あの"藤堂"の名の家に
育てられたんだ。
どこまで落ちようが
どんなに彼が
自分を否定しようが
彼は高潔だよ…
いずれ分かるさ
花園も三高も…藤堂家も
とんでもない人間を
白鴉という
檻にいれてしまったこと
そうだと理解しているのは君ではないかな?
にこりと笑って雅昭さまは言った
どんなに汚くても先生は高潔…