くじら
舞踏会前日まで私達は
作戦の打ち合わせをしていた
織人さんも来てくれた
「先生は大丈夫なの、花園に密偵を送りこんでるんでしょ?」
綾子さんは織人さんに聞き返した
「密偵を?」
織人さんはあぁと頷いた
「…無事だ。ただ…どうも精神的な拷問をうけてる可能性がある……」
精神的な拷問?
「……どこからか白鴉をやめるという噂を聞き付けたんだろ。多分その為の説得だろうな…」
「大丈夫よね?…先生」
「まぁ…明日助けるんだから大丈夫だろ。綾さんくれぐれも勝手な行動は慎んでくれ」
じろっと綾子さんを
見ながら織人さんは呟いた
「大丈夫に決まってるでしょ?あたしはやるときはやる淑女よ…任せて頂戴」
「……そーゆのが不安なんだ。」
「織人さん、静加さんも作戦に加わるんですよね?…」
綾子さんを睨むのを
やめいつもの冷静な表情に戻った
「はい…、花園の舞踏会では僕と組む予定です。…こういったら言葉が悪いが協力的でした。」
協力的…か。
こんこんと扉がたたかれ
綾子さんがドアの近くに行った
「…あ、私ちょっと父様に呼ばれたから。ごめんなさい…すぐ戻るわ」
「ああ…」
綾子さんは
手をふり出ていった
パタンとドアがしまった
「瑠璃子さん、静加…いや先生の弟さんとこの前話しました」