くじら










舞踏会前日まで私達は
作戦の打ち合わせをしていた





織人さんも来てくれた






「先生は大丈夫なの、花園に密偵を送りこんでるんでしょ?」


綾子さんは織人さんに聞き返した




「密偵を?」



織人さんはあぁと頷いた


「…無事だ。ただ…どうも精神的な拷問をうけてる可能性がある……」



精神的な拷問?


「……どこからか白鴉をやめるという噂を聞き付けたんだろ。多分その為の説得だろうな…」




「大丈夫よね?…先生」


「まぁ…明日助けるんだから大丈夫だろ。綾さんくれぐれも勝手な行動は慎んでくれ」


じろっと綾子さんを
見ながら織人さんは呟いた



「大丈夫に決まってるでしょ?あたしはやるときはやる淑女よ…任せて頂戴」



「……そーゆのが不安なんだ。」




「織人さん、静加さんも作戦に加わるんですよね?…」



綾子さんを睨むのを
やめいつもの冷静な表情に戻った



「はい…、花園の舞踏会では僕と組む予定です。…こういったら言葉が悪いが協力的でした。」






協力的…か。

こんこんと扉がたたかれ
綾子さんがドアの近くに行った





「…あ、私ちょっと父様に呼ばれたから。ごめんなさい…すぐ戻るわ」


「ああ…」



綾子さんは
手をふり出ていった





パタンとドアがしまった




「瑠璃子さん、静加…いや先生の弟さんとこの前話しました」
< 336 / 370 >

この作品をシェア

pagetop