くじら





キィとドアのあく音がした



コツコツと足音がする





「誰だ…」



「…僕ですよ。藤堂先生、顔をお忘れですか。」



逆光で見えなかった顔が見えた



「君は……君が密偵だったのか、」




「お久しぶりです。残念ながら…生き伸びていました。綾部様には恩があったので密命を受けました…、」







彼は 苦笑していた



「…まさか君だとは、」



「没落させた側に助けられるなんて…思わなかったでしょう?」












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