くじら
「約束したからですか…」
先生は首を軽く捻った。
「―それだけじゃありません。」
何かひとつ
私は必死になりたい。
ずっと続く毎日の中で
その流れに
従って生きてたくない。
「―僕のせいで瑠璃子さんの人生を駄目にしたくないです、」
眼鏡を外しながら
真っ直ぐ私を見た。
ヘラヘラ笑顔とは違う顔
「私もそれは考えました。家族や皆を騙さなきゃならない…、それでも私は、」
先生はずっと
このままだったら
悲しい。
「――それで気がすんだら、離れるんじゃないですか?」
ふっと 笑いながら
先生は立ち上がった
「みんな、君と同じ事言いましたよ。最初のうちは…でも結局は、離れて行った。」
先生―