くじら












真っ暗な中に先生がいる





昴さんから助けに
来てくれた時みたい



先生、先生!



「それ以上来ないで下さい」


―それ以上…?



足元には白線が引いてあった




先生と白線を交互に見る



―私は先生のそばに行きたいんです。







「じゃあ、おいで。本当に知らないよ…」




先生に出した手は
ぐいっと引っ張られた












「るり子さん?」




「あ……先生……」





目を開けたら先生がいた




藤堂先生だ。



「大丈夫ですか?貧血で倒れたみたいですよ」



「……貧血。あ……そっか夢か…ぁ」




ベットから起き上がり
先生の顔を見た






「まだ休んでていいですよ。…何かいい夢でも見ていたんですか?」




優しい笑顔で聞いてきた



夢でみたような




「……先生が出てきました…。」


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