くじら


にこりと笑った






ちょっと怖いと
思うのは気のせいかしら…






「大丈夫です。わたし少々挑発されても、のったりなんかしませんから。それにっ……」









ふっと 先生の顔が
とても近くにきたのがわかった







その瞬間しかわからなかった




先生にキスされた。


私は目をすぐにとじた






「………あ、……ふっ…」






長いキス






したことがないのに
私は懐かしいと感じた



甘いような、苦しいような、




「……っ……、せんせい。苦しっ……なんで」


ようやく先生は
私から口を離した



「さっき言ったでしょう?男を挑発させるなって……罰だよ。」







ゾクッとした




笑っている先生の表情に

そして先生自体に…






怖いけどいとしい…


離れたいのに離れたくない…



ドキドキしている。


















―わたしはこの人に溺れていく…と





まだ気付かなかった。


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