くじら
弍章 もっと、君を
「キスはしたこと無かったんですか。」
「あ、あるわけないじゃないですかっ!」
先生は平気そうに私を見る
「てっきりしてるものだと…。だから息継ぎの仕方が変だったんですか…」
馬車は私の家に向かってる。
先生と私を乗せて。
「変で申し訳ありません。先生、」
先生はキス慣れてるみたいな…
というか
この態度の変わりよう
はさすがに大人だわ…
私はまだ顔が赤くて
先生を見れない
「いえいえ…。むしろ、その方がいいです。」
その方がいいです?
私は首をひねった
「初(ウブ)で可愛いと言っているんです。褒めてるんですよ」
可愛いって…
私は下を向いたままだった
「……い、」
「ずるい…です。そういう言い方は…、急に…」
益々 赤くなって
先生が見れない
くすくすと先生は笑った
「…そうですね。狡いですね…。でも僕がそう思うから仕方ないです…」