宝箱
帰り道
 夕日が沈む帰り道。
人通りが少ない堤防沿いの道を二人肩を並べて歩いた。

 彼は前を見つめていて、私は足元しか見てなくて。
恥ずかしくて顔をあげられなかったんだ。

 無言で歩く私達を茜色が照らす。



「…、手ぇつなごうか」

「!!」

 今まで前しか見ていなかった彼が止まってこちらを見る。
聞こえた言葉に驚いて彼を見たら、目があった。
恥ずかしくて目をそらしたいのに、出来ない。

「ダメ?」

 言葉にしたいのに口が動かない。

 嬉しくて、うれしくて、恥ずかしくて…

ただ、ゆっくりと首を横にふった。

「やっぱダメかぁ~」

 彼は私がダメだと言ったと思ったのか、苦笑いであははと笑った。

「ちっ…ちがっ」

「え?」

 やっと出た声は、少し震えて、思わず噛んでしまった。

「ほ…本当は、手、つなぎたい」

 言葉にしてしまった恥ずかしさでまた下をむく。

 少しの沈黙はとても長い。
ちらっと彼の顔を見ようとして、とまった。

 視界の端で、真っ赤になった彼の横顔が見えてしまったから。




eNd

初々しい感じが出たなら良かった。
中学時代を思いだした(^^)
 
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