ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
「お前には言えねぇな」


「はぁ? 俺、このクソポルノに5千円も払ったんだ。何も話す気ねぇなら、樋口さんをあんたが俺に返せ!」


「口の減らねぇガキだな。落ち着け。そんな態度で口を割るヤツが今までにいたのか? 相当運命の女神に惚れられてるな、美少年。」


 バカにしやがって…


「めんどくせぇから教えてやるよ。尾藤信也はな、お前の兄貴が殺らなくても俺が殺ってた。あの時、信也殺害の依頼を俺は受けてたんだ。」


「誰に?」


「尾藤グループの社長、信也の父親にだ。」


「へ?」


 しまった、間抜けな声が漏れた、かっこ悪ぃな、クソッ。


「信也は尾藤のお荷物だった。使えねぇし、面倒ばかり起こすしな。当時尾藤が雇っていた弁護士の仕事は、ほとんどが信也の尻拭いだった。世間からは可愛い息子をかばっているように見えていたが、尾藤はただ会社を守りたかっただけだ。『目の上のこぶ』は始末する、たとえ血を分けた息子だろうとな。それが尾藤のやり方だ。」


 男は恐ろしく非情な真実を、淡々と話す。


「当時、信也にしては珍しくデカい取引を任されていた。信也がわざわざ中国まで出向いてとりつけたんだ、信也にやらせるしかなかった。それが終わったら俺が信也を消す予定だったが、お前の兄貴と信也が色事で揉めて、俺は手を下さずに済んだ訳だ。」


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