ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
「あんた今、兄貴の傍にいるんだろ? だったらそんな計画、ブチ壊してくれよ。」


 縋る思いで言ってみたが、ヤツから返ってきたのは絶望的な答えだった。


「勘違いするな、これは尾藤の計画じゃない。




 俺の計画だ。」




「何でだよ? あんたは俺たちの… 兄貴の仲間じゃねぇのかよ?」


「明日の朝10時、チャンネル●を見ろ。お前の愛しい兄が出演する。」


 何の話だよ? コイツ意味わかんねぇ。


「それがお前が見る、兄の最後の姿だ。目に焼き付けろ。」


 我慢できずに振り返ると、男は既に席を立ち、俺に背中を向けていた。


 思わず追いかけて男の腕を掴んで強引に振り返らせる。


 やっぱりアイツだ。


 無表情の中の漆黒の瞳が俺を凝視した。


 なんでそんな悲しい目…


「お前はすぐ感情に支配される。この仕事、向いてねぇな。」


 そう言って苦笑した。


 その微笑は、どうしようもなく悲しげで、見てるこっちまで痛いほどだった。


< 109 / 305 >

この作品をシェア

pagetop