ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
「あと一つ。


 お前、尾行されてるぞ。」


 そう言い捨てると、呆気にとられている俺を置き去りにして、男は瞬く間に闇に消えた。






「てめぇ、あの人になんつー口の利き方しやがる!」


 背後から後頭部を拳骨で殴られて、その衝撃で前のめりになる。


 振り返るとそこに…


「谷口さん…」


「聞いてて冷や冷やしたぞ。『色ボケシルバーマン』だぁ? 『ネーミング大賞』だぁ? バカ皆人。」


 そう腹立たしげに言って、谷口さんは、今度は平手で俺の頭をはたいた。


「やめて、余計にバカが増す。」


 後頭部を両手で抱えて訴えてみた。


「それ以上増すかぁ! 限界を超えたバカだな、お前。」


 谷口さんは引き摺る勢いで、掴んだ俺の腕をグイグイ引きながら、出口へ向かう。


 谷口さんが、何に対してこんなにも激怒しているのか、さっぱりわからない。


 心当たりが有りすぎて、ですけど。


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