ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】


 何なのだ、これは一体。


 面会室のアクリル板の向こう側にいる男、マイケル(プリズン・ブレイク)ばりにイケてるし。


 蔦山さんの坊主頭、笑ってやろうと思ったのに、チッ。


 俺が坊主にされた時なんか、『キュート』とか言われて兄貴に笑われたしね。


「有坂、元気そうだな。」


 蔦山さんは俺を見るなり、あの懐かしい男前な笑顔を見せた。


 この笑顔を見るためだけに、仕事していたあの頃を思い出す。


 蔦山さんに認めてもらおうと、無我夢中で奔走した日々。


 『ザ・青春』


「それはこっちのセリフですって。」


 俺、素直になれず、ふて腐れる。


「何の用だ? 用がなきゃ来ねぇよな?」


 蔦山さんたら、やっぱり可愛くない、まぁ、おっしゃる通りですけど。


「如月露子のことで来たんすけど。」


 時間もないし、さっそく切り出してみた。


「誰だそれ?」


 ふてぶてしい程の涼しい顔。


 そう来ると思ったし。


< 120 / 305 >

この作品をシェア

pagetop