ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
 谷口さんは自分の携帯を取り出し、素早い動きでボタンを操作すると、それを耳に当てた。


 その間0.5秒ほど、人間技じゃねぇな。


「日置ぃー!」


 そして電話の相手が出るまでの僅かな時間に、数m離れた席の日置を大声で呼び、手を器用に動かして、何かを伝えた。


 乃亜が使っている手話とも違う、谷口さんや日置が所属している、政府の秘密組織で使用している暗号か何かか…


 こっちの焦燥などお構いなく、兄貴の一本調子のスピーチは続く。


『24時間以内に蔦山が釈放されなかった場合、現在拘束中の谷口多恵も爆死することになる。
 これは脅しじゃない。こちらが本気だということを、今から俺が証明する。』


「谷口です。テレビの●チャンを見てください。」


 電話の相手と繋がったらしい谷口さんが言う。


 相手は多分、谷口さんたちのボス、監察局長、桜庭じゃね!?


「要求は、『蔦山隆治』の釈放です。」


 谷口さんは淡々と報告を済ませると、電話を切った。


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