ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
「皆人、俺ちょっと行って来るわ。オッサンになんとかしてもらう。」


 やっぱりだ、『オッサン』=『桜庭』に違いない。


「蔦山さんは、尾藤グループの仲間なんですか?」


 すでに俺に背を向け走り出した谷口さんを、慌てて呼び止めた。


「どうだかな… 俺は蔦山は東郷と繋がってるとみてたんだけどな。腹黒いあいつのことだ、両方ってのもありうる。」


 振り返り、後ろ歩きしながら谷口さんは答えてくれた。


 谷口さんらしからぬ親切な対応だ。


 『腹黒い』蔦山さん… 随分な言われようだが、的確に的を射抜いてて否定できないのが悲しい。


『皆人、聞いてるか? ミナトーーー!』


 兄貴、まだしゃべってたのか、こんなにおしゃべりでしたっけ!?


『皆人、お前を心から愛している。意地悪ばかりして悪かった。その全ては俺の屈折した愛情表現だった。許してくれ。』


 兄貴… こんな時まで、どっか抜けてる…


 最期の時に愛を語る相手を、お間違えではないでしょうか!?


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