ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
「何しやがんだ!? クソ兄貴!」


 車外に放り出された俺が、思わず兄貴に怒鳴りたてる。


「走れ、皆人、できるだけ遠くへ行け!」


「は?」


 意味わかんねぇ、何で俺だけ逃げなきゃなんねぇんだよ!?


 チワワくんもいつの間にか後部座席に移動していて、


「これを恵理ちゃんに…」


 そう言って、手を伸ばすと俺の頭を両手で挟み、もの凄い力で引き寄せられた。


 奪われた…


 俺としたことが、不覚にもチワワくんにチューされちゃったし… しかもかなり濃厚なヤツ。


 なんとか逃れようと、チワワくんの腕を掴んで必死にもがくも、チワワくんの両腕はビクともしない。


 忘れてた、チワワくんの身体はかなり鍛えられているんだった。


 ようやく開放された俺の視界は、涙で霞んでいた。


 こんなのあんまりだ。


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