ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
「皆ちゃん、ちゃんと上手にやってよね、俺みたいに。」


 なんら悪びれることなく、無邪気に微笑むチワワくん。


「時間がない、行け、皆人!」


 チワワくんを押し退けるようにして身を乗り出した兄貴が叫び、俺は反射的に走り出した。


 すぐにドアが閉められる大きな音が背後から聞こえた。


 もう何がなんだかわかんねぇ。


 全力で走り続けること数十秒、大きな爆発音がし、地が震え、辺り一帯の空気が歪んだ。


 かなりの距離を走ったおかげで、爆風は俺のところまでは届かなかった。


 振り返ると、兄貴とチワワくんを乗せているはずのワゴン車は炎に包まれていた。


 燃え盛る炎に吸い寄せるられるように、ワゴン車の元へと引き返す。


 その場に立ち尽くし、揺らめく蜃気楼の中、二人が何事もなかったかのように、澄まして現れるのを、ただひたすら待った。




 待ち続けた。




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