ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
「イイ男ねぇ…」


「よく言われます。」


 ニコリともせず、真顔でデッカイ嘘をついてみる。


「あら、やっぱり? ドラマに出て来る刑事よりもハンサムだものねぇ。」


 いえ、冗談なんですけど…


 オバチャンには、〈会話文の始めに『あら』を付けるの法則〉でもあるのだろうか?


「あの、聞きたいことが…」


「本物の刑事さんて、皆、お兄さんみたいに格好いいの?」


「いいえ、俺は特別です。」


「あら、やだっ。そうよねぇ… そんな訳ないわよねぇ。」


 ほっほっほっと笑う。


 だから冗談だって。


 まずいぞ、オバサンという生き物は得体が知れない。


 俺が握っている情報は唯一つ、『生物学上は女』ってことだけだ。


 どう扱えば良いかわからない、冗談もスルーされるし、もがけばもがくほど、彼女のペースに飲み込まれてゆく。


「質問があります!」


 ここは風向きを変えねばと、声を少し張り上げて、オバサンが俺の言葉に耳を傾けるよう仕向ける。


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