ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
「希世が今どこにいるか、ご存知ですか?」


「ああ、希世なら、隣町の修道院に世話んなってるはずだがな。どうでもいいけどよぉ、お前、メモとか取らねぇの?」


 じいさんは不思議そうに俺を見る。


「いえ、いいんです、個人的なことなんで…」


 何の気なしに答えたが、30メガネに頼まれた、露子殺害の件を思いだした。


「あ、そうだ、如月露子が殺害されました。東郷の女だったらしいんですけど、東郷組に消されたようです。何か心当たりありますか? 蔦山明文が関わっている可能性とか…」


 じいさんは、唐突に話の矛先を変えられて、素っ頓狂な顔をし、ほんの一瞬思考を巡らす素振りをするも、すぐにさっぱりだと首を左右に振った。


 『情報なし』とだけ手帳に書き込み、俺の任務は完了。


 メガネくん、蔦山明文は露子殺害には無関係らしいぜ、残念だったな、俺も残念だよ。


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