ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】


 署を出たところで、ようやく谷口さんから連絡があり、俺は拾ってもらえた。


 愛してますと運転席の谷口さんに抱きつこうとしたら、全力で拒否されたし。


 谷口さんは、いつも以上に不機嫌な顔で吐き捨てるように言った。


「蔦山が脱獄した。」


 え?


「詳しくはわかんねぇけど、あいつ、独房の便器に顔突っ込んで自殺図ったみてぇだ。

 救急車で移送中に覚醒し、まんまと逃げた。全てはあいつの計算通り、事が運んだ訳だ。」


「人間業じゃねぇな。けど、なんで、蔦山さんが独房に?」


「さぁな、ムショでなんか問題でも起こしたんだろ? どうせそれも意図的にやったことだろうがな。」


「義妹んとこかも知れない。」


 蔦山さんが今一番逢いたいのは、きっと義妹の希世だ、間違いない。


「どういうことだ? わかるように説明しろ、皆人。」


 谷口さんがもの凄い威圧感で、若干脅迫気味に言うので、俺はここで聞いたこと全てを移動中の車中で谷口さんに伝えた。






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