ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
着いた。
兄貴が居候しているらしいその家は、見渡す限りの田園風景の中、ポツリと遠慮がちに建っている、何の変哲もない小ぶりな民家だった。
隣家までは50mほども距離がある。
プライバシーは厳守されているわけだ、兄貴には好都合かもな。
ふと、そんなことを考えたら、思わず苦笑が漏れた。
『迫田』と書かれた表札を確認し、続いて住居の西、数m先にあるビニールハウスに視線をやる。
あそこで兄貴が恋人と仲良く苺栽培とか… ウケる。
大きく一呼吸してからインターフォンを押した。
「はぁ~い。」
やや高音の、透き通るような女の声が、軽やかに応えた。
「待て! 勝手に出るな!」
間入れず、聞きなれた低い男の声がドアの向こうから聞こえ、どうやら返事をした彼女を引き止めたようだ。