ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
自室のベッドで布団にくるまり泣きじゃくる希世を目にし、隆治は絶望した。
どうか、自分の予想がとんでもなく的外れなものであって欲しいと、祈るような気持ちでゆっくりと希世の元へと歩み寄り、隆治はそっと布団をめくる。
だが隆治の瞳に映し出されたのは、見るに堪えないほど凄惨なものだった。
隆治はすぐさま布団を元に戻し、希世をしっかりとそれで包み込む。
どうしても紡ぎだせない言葉の代わりに、そっと希世の頭を一度、優しく撫でた。
隆治が居間へ行くと、明文はソファに寝そべり、呑気にドラマの再放送など見ていた。
明文は、無表情で自分に向かって来る隆治に気づくと、
「なんだお前、帰ってたのか。」
なんら悪びれることなく、素っ気ない言葉を吐いた。
歩を進めつつ、手に届く位置にあった棚上の花瓶を掴み取る。
隆治がさらに歩を進めながら花瓶を逆さにすると、花や水が大きな音を立てて床に散らばり、跳ね返った水しぶきが、隆治の学生服のズボンの裾を濡らした。