ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
季節は一巡りし、再び夏が来る。
隆治は高校2年、希世は中学3年になっていた。
希世が拾ってきた子犬のシェフは、いつの間にか蔦山家公認のペットとなっており、炎天下の元、庭の隆治が作ってやった犬小屋の中で、ダラリと舌を出し切って、ぐったりと横たわっている。
休日、酷い暑さと、汗ばんで湿った全身の不快感から、寝苦しくて隆治は目を覚ました。
既に日は高い位置から、地上を全力で照り付けていた。
隆治の部屋の隣、明文と露子の寝室から、何やらしきりに物音がし、不思議に思った隆治は、寝起きで重い身体をしんどそうに起こすと、のそのそと部屋を出る。
まだ頭の中もすっきりせず、何の考えもなく、ただ、物音に導かれるように隣の部屋のドアをゆっくり開けた。