ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
 隆治は何も答えず茶封筒の中を確認すると、身を乗り出して低く囁いた。


「足りねぇな。これじゃあ手術代にしかならねぇ。」


 隆治の静かだが脅迫的な物言いに、驚愕と恐怖で目を見張るばかりの曽根崎に、隆治はさらに続けた。


「あと30持って来い。それから、希世の前から消えろ。今度希世に会ったらその時は、てめぇを殺す。たとえそれが偶然だったとしてもだ。言ってる意味わかるな?」


 全身を硬直させながらも、曽根崎がなんとか首だけ縦に、小さく何度も振るのを確認すると、隆治は立ち上がった。


 レシートは持たず、「ごちそうさま」と曽根崎を見もせずに吐き捨て、颯爽と喫茶店を出て行った。






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